レンタサイクルの旅 和歌山県新宮市 #1

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 和歌山県は近年、自転車による地域振興に力を入れている。ナショナルサイクルルートのひとつ太平洋岸自転車道の終点は和歌山市の加太にあり、新宮から加太まで海岸沿いを進むルートの整備が進んでいる。JRきのくに線(紀勢本線の一部)の御坊から新宮の区間では、普通列車に自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインが常時運行されていて、ますます自転車を用いた移動や観光が便利になっている。海にも山にも川にも恵まれた紀伊の国を、自転車と電車でくまなく走り回ることは私のひとつの夢である。

 そういったサイクリング熱の高まりを受けて、各市町村の観光協会のレンタサイクルでもスポーツ自転車やe-bikeを貸し出すサービスが増えている。例えばすさみ町では、町内6か所にレンタサイクルの貸出ステーションを設け、そのうち2か所ではロードバイクを借りることができる。紀の川市では、予約制で折り畳みスポーツ自転車の有名メーカー・DAHONの自転車を貸し出している。

 県南部・熊野地方の中心都市で、世界遺産の熊野速玉大社を抱える新宮市もそのひとつである。以前田辺市の旅行記も書いたが、新宮市もまた、私が数えきれないほど踏みしめてきた土地である。しかし、それは主に徒歩、あるいは家族の自動車によるものであり、新宮市のうちのほんの一部、決められた範囲に限定されるものであった。人生全体にわたって移動のトラックログを取り、新宮市の地図に赤い点でプロットしたとしても、僅かな面積のみが赤くなるのみであろう。自転車で市域を走りまわり、自分にとって未踏の地区を少しでも知る旅としたい。そう考えると、新宮市観光協会のレンタサイクル、とりわけクロスバイクのレンタルはうってつけであってありがたいものであった。

 このレポートは、新宮市で実際にレンタサイクルを借りて40kmほどを走った記録を、できるだけ新鮮な記憶のうちに書き留めるための短い旅行記である。なお、新宮市観光協会は新宮駅前すぐにあり、レンタサイクルの貸出時間は9:00-17:00、料金はクロスバイクの場合1日1500円である。ヘルメットの貸出もあるので安心である。また、観光協会の受付の方にお勧めされたので、e-bikeの貸出が10月31日まで通常の半額以下になるキャンペーンが行われていることをここで勝手に宣伝させていただく。

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